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◆断層撮影の技術について紹介します◆
光断層撮影技術
OCT(Optical Coherence Tomography)とは何か
1991年に、マサチューセッツ工科大学のフジモトにより、光の干渉性(コヒー
レンス)を利用して、物体内部のようすを撮像する技術が提案されました。こ
の技術あるいは得られた断層像のことを OCT(Optical Coherence Tomography)
とよびます。
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TD-OCT(Time Domain Optical Coherence Tomography)法とは何か
下の図のように、光源から多くの波長を含んだ白色光が出され、カプラによっ
て試料に向かう光と可動ミラーに向かう2つの光に分けられます。試料内部の
色々なところで光は反射され、カプラに戻ってきます。このとき、ちょうど可
動ミラーの位置が、反射した光と同じ場合には、互いに戻ってきた光はカプラ
で再び出会うことになり、ここで干渉が起こります。しかし、距離が異なると
ころではね返ってきた光同士は、カプラで出会えず、干渉を起こしません。
TD-OCTの概念図
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OFDR-OCT(Optical Frequency Domain Reflectometry)法とは何か
OCTは、光を用いるため、非侵襲的に内部のようすを調べることができます。
そのため眼科の分野にいちはやく取り入れられました。しかし、 TD-OCT法で
は可動ミラーのように機械的に動く部分があることや、反射してくる光のうち
の一部しか信号として取り出さないため、撮像の高速化や感度の向上に困難な
点がありました。
そこでこのプロジェクトでは、実用化されている従来型の方法における困難な
点をもたないOFDR法(Optical Frequency Domain Reflectometry)を用いて、
高速、高感度で、高分解能な新しいタイプのOCT装置を開発することにしまし
た。
OFDR-OCTの概念図
上の図のように、OFDR法ではいろいろな波長をもつ光を続けて射出し、カプラ
を通して試料およびミラーに向かう光に分けます。TD-OCTとの大きな違いは、
ミラーが固定されており、機械的な動きがないことです。さらに、干渉性のよ
い(コヒーレンス長が長い)光であるため、試料からの反射光とミラーからの
反射光をすべてカプラで干渉させて、信号として取り出すことができます。こ
のときの信号は、どの波長の光がどれくらい強く干渉するかという情報をもっ
ており、この波長の情報から内部の位置情報を取り出して、断層像として可視
化することができます。
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超高速光コムOCTとは何か
OFDR法により、TD法より高速にOCT画像を得ることが可能となりました。しかし、
実際の医療現場では、広範囲におよぶ部位を高速かつ立体的に可視化する
ことが求められるようになってきました。これは、1枚の断層像だけでは、どこ
にあるかわからない病変を見落としてしまう可能性があるからです。さらに、広範
囲におよぶ画像を撮像するためには、被験者の動きによる画像の乱れが生じるた
め、いままで以上に高速に撮像することが重要となります。
OFDR法では、波長を掃引することにより、検出器に時系列的に信号が入ってきま
す。光通信の分野で用いられている光分波器(Optical de-multiplexer)を用い
て、検出器を多数並べることで、波長毎に分けた光をすべて同時に処理すれば、
さらなる高速化が図れることに着目し、下図のようなまったく新しいOCT装置を
開発しました。
超高速光コムOCTの概念図
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